2004/05/22

ヲタクのファッション

さて、「ヲタク」のファッションと言えば以前は「黒の学生風のズボン」にやたら長めの「おっさん臭い穴無しのベルト」、「白のワイシャツ」とスニーカー、「マジソンスクエア」のスポーツバッグのループを肩に掛け、薄茶の2重にした紙袋に大荷物を入れている、眼鏡七三分けの青白い顔の男、冬はダッフルコートを着用場合もあり秋葉原付近に多数生息する。または、変な切り返しのついたケミカルウォッシュのジーンズに、キャラクターTシャツまたはトレーナーという感じでした。
しかし最近は黒の編み上げブーツにカーキか迷彩のカーゴパンツ、ゲーム系のプリントTシャツにミリタリー系のジャンパーか、ストライプのTシャツの上にプリントタンクトップ、指の無い革手袋をしてGショックを装着、長髪を後ろで束ねて、丸眼鏡(サングラスも有り)とか、アーミーパンツに合成皮革のライダースなんてのもあって、昔のイメージに比べると大分カラフルになって来ている感じがします。さて、ではなぜ彼らのファッションが変わって来たのか考察してみましょう。
もともとの「ヲタク」のファッションとは、簡単に言えば「学生服」の上着を脱いだ状態であり、あるいは母親が近くのスーパーなどで価格優先で適当に買って与えた物を適当に着ている、というのが本当の所であって、これは取り立てて「ヲタク」のファッションというよりは、当時の国立大学の工学部の学生などの標準的な格好だったと思います。つまり昔の「ヲタク」は工学系の人々の一部をさしていたのです。思えば当時のお勉強命の田舎出身の大学生は、彼女が欲しいって色気は人一倍あったくせに、自身の格好について頓着するのはなにか妙な自尊心が邪魔するのか全く否定していて、とにかくダサイのが普通でした。しかし最近の工学部の学生は全くそんな事も無く、かといって「ヲタク」とは異なってまあ普通の若者のファッションをしています。では現在の「ヲタク」のファッションの源泉は何処にあるのでしょうか、それは「アニメの登場人物」と「ゲームの登場人物」なのです。実際、現在の「ヲタク」に占める工学系の割合は低く、どちらかと言えば「コア」な人達は大学などには進学していない場合が多く、ある意味で「アニメ」や「ゲーム」を生活の中心にとらえている人が多いようです。彼らは自身を「アニメ」や「ゲーム」に登場するキャラクターに擬する事を好むので、自然とそれらしいファッションになっていくようです。しかし、現在は一般の若者にとって「漫画」や「アニメ」、「ゲーム」などは有って当たり前で取り立て興味のある事では無くなっています。そのためによけいに「ヲタク」の若者と「普通」の若者との生活には乖離が起きている状況ですが、普通の若者にとっては「漫画」や「アニメ」、「ゲーム」は前述の通り有ってあたりまえの空気のようなものなので、ある意味「ライトなコスプレ」である「ヲタク」ファッションを街で見かけても、免疫が有ってそれほど違和感を感じないのが現状です。