2004/05/12

吉野家の失敗

最近のことですが、近所の吉野家に弁当を買いにいってみて、全く客がいないのには驚きました。たしかに先日の新聞に吉野家の売り上げが3割も落ち込んだとの報道がありましたが、ここまでとは思いませんでした。「米国産牛肉でなければ、牛丼は出来ない」と大見得を切って、吉野家をはじめとして各社とも一斉に牛丼の販売を中止したのはご存知の通りですが、この全く不思議な一斉行動にも、なにやらきな臭い裏がある事が「ハンナン」問題の報道からちらほらと真相が垣間見えてきたところです。結局の所、OGビーフなどの代替となる輸入肉などほとんど検討もせずに行った「中止宣言」も、仕入れの7割を握る「ハンナン」と「農水省」の輸入再開パフォーマンスにまんまと乗せられての結果であれば、櫓に上った所で梯子を外されたも同然といえます。
しかし、各社同じように牛丼販売を中止したあとの売り上げに差が出てきた事に関しては、各社が競って代替品として投入した「豚」関連の丼や「カレー物」に人気の差が歴然と表れ始めてた事が直接の理由であると思います。
吉野家といえばCMにもある通りに「牛丼一筋」が売りの店で、「牛丼」では味、価格ともに他社を大きく引き離すブランドであった事は誰もが認めるところでしょう。しかしそれが今回は災いして、競合他社がメニューの多様化に本格的に取り組んできたのと違い、今回の新メニューはいかにも急場凌ぎの感があるのは否めません。現在の主力製品である「豚丼」に関しても、本来は「鶏」関連商品を主力に据えるつもりが、例の鳥インフルエンザの影響で急遽登場したように見えます。
さて、今回初めて「豚丼」を食べてみて感じた事ははっきり言って「物足りない」の一言です。まるで「牛丼」の肉を「豚」に替えただけの物で、牛ならおいしいはずの薄い肉も豚ではある程度の厚みなければ、うまみが出ないのは料理人なら常識のはず、味付けも豚相手ではやや物足りない感じで、「松屋」などに比べての完成度が低い事が今回の苦戦の最大の原因だとおもいます。早期の改良がなければ顧客離れはいっそう加速することは必至でしょう。