2004/05/18

携帯電話の高機能化

私の使っている携帯電話はGPS対応で「音声ガイド付きのナビ」が可能、さらにカメラはメガピクセルでストロボ内蔵と最近のトレンドは一通り押さえた設計となっています。高機能になった最新のGPS機能を最大限に生かす電子コンパス内蔵機能は、初めて実用的な「ウォークナビ」を実現しています。またカメラ機能はホームページの記事作成にデジカメが不要になるほどの便利さで大変重宝しています。
このように新製品が続々と発売されているのを見ると、携帯業界は我が世の春だと思っている人も多い事でしょう。では、本当の現状はどうなんでしょうか?
実は携帯端末は高機能化に伴い実にリスクの多い商品になりつつあります。現にソニーの米国市場からの撤退、日立とカシオの携帯部門の統合など、収益性の改善と、競争力の強化が各社な課題となっています。
ではどのような問題があるのでしょうか。リストにしてみました。
●端末は高機能化されていくが、デジカメなどの付加機能部分の開発コストは通話料などで回収できる性格のものではないので、現状はキャリア各社からの補助金で補ってはいても、結局は端末製造業者の負担になる。
●高解像度の画像やムービー、テレビ電話などの機能を生かすには、パケット通信料の大幅な引き下げが必要だけれど、現実にはキャリアー各社にとっては、収益をここであげている以上なかなか下げるわけにはいかないところで、結局ユーザーが高いパケット代を負担するはずも無い以上、目新しい機能であっても利用率は低くなってしまう。
●最近の携帯は高機能化に伴って、ソフトウェアの比率が高くなっていてそれだけバグの発生する確率も高くなり、発売後に発覚した場合の回収改変費用が膨大な物になる場合が多い。
●モデルチェンジのインターバルが短く、製造上のコストがあまり下がらない。
このような理由で、新機能追加ラッシュであっても、そのコストを負担を誰がするのかというビジネス上のモデルが確立されていないのではないでしょうか。負担先がはっきりしないまま疾走する高機能競争は、いまだにユーザー全体の支持を得られるような機能と費用のバランスを得ていないというのが本当の姿でしょう。その上での機能競争は各端末メーカーにとっては一種の消耗戦と化しています。